「鹿島る」とは?
「鹿島る」という言葉は、日本のサッカー界で特に試合終盤における時間稼ぎの戦術を指す俗語として使われています。これは、Jリーグの強豪クラブである鹿島アントラーズが試合終盤にリードを守るために効果的に時間を使うプレーを多用していたことから生まれた表現です。
具体的には、リードしている試合の終盤に、攻撃側の選手が相手陣内のコーナーフラッグ付近でボールをキープし、相手選手にボールを当ててスローインやコーナーキックを得るなどして時間を消費する戦術を指します。このようなプレーは、ボールを失うリスクを最小限に抑えつつ、試合時間を進行させる効果的な方法として知られています。
鹿島アントラーズの元選手である岩政大樹氏は、自身のブログで「鹿島る」について言及しています。彼は、試合終盤におけるボールキープや時間の使い方は、選手個々の高い技術と適切な判断力が必要であり、決して簡単なプレーではないと述べています。また、これらのプレーは監督からの直接的な指示ではなく、選手自身が試合状況を判断して行っているとも指摘しています。
「鹿島る」という言葉は、鹿島アントラーズ以外のチームが同様の時間稼ぎ戦術を行う際にも使用されることがあります。これは、鹿島アントラーズがこの戦術を効果的に実行し、勝利を積み重ねてきたことから、そのプレースタイルが他チームにも影響を与えていることを示しています。
このような時間稼ぎの戦術は、試合巧者としての評価を受ける一方で、観客や対戦相手からは消極的なプレーと見なされることもあります。しかし、試合の流れや状況に応じて適切に時間を使うことは、勝利を目指す上で重要な戦術の一つであり、選手たちの経験や判断力が試される場面でもあります。
近年では、他のチームも「鹿島る」と称されるような時間稼ぎの戦術を採用することが増えており、サッカー戦術の一部として定着しつつあります。例えば、FC町田ゼルビアが試合終盤にコーナーフラッグ付近でボールキープを行い、時間を稼ぐプレーが話題となり、「町田が鹿島ってる」と表現されることもありました。
つまり「鹿島る」とは、試合終盤にリードを守るための時間稼ぎ戦術を指す言葉であり、特に鹿島アントラーズがこの戦術を効果的に用いてきたことから生まれた表現です。この戦術を採用している鹿島アントラーズの強さの秘密をさらに深堀してみましょう。
鹿島が強いその理由
鹿島アントラーズはJリーグ屈指の名門クラブであり、日本国内最多のJ1リーグ優勝8回を誇るクラブです。さらに、国内カップ戦やアジア大会でも数々のタイトルを獲得し、その安定した強さは「常勝軍団」と称されるほどです。では、鹿島アントラーズがこれほどまでに強い理由は何なのでしょうか?以下に、その秘訣を解説します。
鹿島アントラーズの最も特徴的な点は、「勝利至上主義」ともいえる徹底したメンタリティです。
・どんな試合でも「勝つこと」にこだわる
・美しいサッカーよりも、勝つためのサッカーを選択
・1点差での勝利や、試合終盤の粘り強さが際立つ
1990年代のJリーグ創設期から、鹿島は「勝つことがすべて」という哲学を貫いてきました。たとえ内容が良くなくても、結果を重視する姿勢がクラブの文化として根付いています。
鹿島アントラーズは、短期的な補強に頼らず、長期的な視点でチームを構築するクラブです。これはブラジル人指導者の伝統や、クラブの運営方針に起因しています。
ジーコの影響
ブラジルの名選手ジーコが1991年に鹿島に加入し、「チームの規律」「プロフェッショナリズム」「技術の向上」を指導。これがクラブの基盤となり、その後の鹿島の成功につながっています。
継続性のある監督人事
監督の交代が激しいJリーグにおいて、鹿島は長期的にチームを率いる指導者を重用する傾向にあります。特に、元選手が監督やコーチになることが多く、一貫したサッカー哲学が保たれています。
「鹿島のサッカー」へのこだわり
どの監督が就任しても、鹿島のプレースタイルは大きく変わらず、伝統的な「堅守速攻」「試合巧者の戦い方」が貫かれます。
鹿島アントラーズは、単に攻撃的なチームではなく、守備の堅さと試合の流れを読む力に優れたクラブです。
堅実な守備戦術
・組織的なディフェンスライン
・1対1の強さ
・攻撃陣を含めた守備意識の高さ
・試合運びの巧妙さ
・1点リード時の試合の締め方がうまい
・相手の弱点を突いた戦い方を徹底
・リード時は無理に攻めず、時間をうまく使う
これにより、勝負どころでの強さが際立ち、接戦をものにする試合が多くなっています。
鹿島アントラーズは、若手育成と的確な補強のバランスを取るのが非常に上手いクラブです。
アカデミー出身の選手が主力に成長
鹿島の下部組織(アカデミー)からは、多くの日本代表選手が育っています。例えば、
内田篤人
柴崎岳
植田直通
安西幸輝
などがユース出身で、プロとして大成しました。
必要なポジションを適切に補強
鹿島は派手な補強はしませんが、チームに足りない部分を的確に補う補強を行います。特にブラジル人選手の獲得がうまく、長年にわたり高いクオリティの助っ人を揃えています。
ジョルジーニョ
ビスマルク
アルトゥール・カイキ
エヴェラウド など
鹿島アントラーズは、「ここぞ」という大一番に強いのも特徴です。
Jリーグの優勝決定戦で勝ち切る力
天皇杯やルヴァンカップ(旧ナビスコ杯)などのカップ戦でも強さを発揮
ACL(アジアチャンピオンズリーグ)でも優勝経験あり(2018年)
2016年クラブワールドカップでレアル・マドリード相手に大接戦を演じた
特に2016年のクラブワールドカップ決勝では、レアル・マドリード相手に2-4と健闘し、世界に「KASHIMA」の名を知らしめました。
このように鹿島アントラーズの強さの秘訣は、単なる個々の選手の力ではなく、クラブの伝統・哲学・勝利へのこだわりにあります。そして鹿島アントラーズは「Jリーグの王者」としての地位を確立し、今後もJリーグやアジアでの活躍が期待されるクラブです。