サッカーボールのデザインは、五角形と六角形の組み合わせでできていますが、なぜ五角形や六角形が使われているのかを詳しく説明します。
もともと、サッカーボールは革を縫い合わせた単純な形状でした。しかし、1960年代にアディダスが発表した「テルスター」というボールが、現在の黒と白のパターンを持つデザインの原型となりました。このデザインは「切頂二十面体(truncated icosahedron)」と呼ばれる立体で、12枚の正五角形と20枚の正六角形の計32枚のパネルで構成されています。
このデザインにおいて、六角形だけでは球形になりません。これは、平面のタイル張りのように、正六角形だけで構成すると平面になってしまうからです。立体的にするためには、一部の六角形を別の形に変える必要があります。そこで登場するのが五角形です。
五角形を適切に配置することで、六角形だけでは作れない球形の形状を形成できます。つまり、五角形のパネルを加えることで、ボール全体が適度に曲がり、滑らかな球体に近づくのです。
切頂二十面体の形状は、比較的均等なパネルの配置を可能にし、ボール全体の強度や耐久性を高めます。また、五角形と六角形の組み合わせにより、ボールの空気圧が均等に分散され、蹴った際の反発力やバウンドが安定します。
1970年のFIFAワールドカップで公式採用された「テルスター」は、白地に黒の五角形を配置することで、テレビ放送時に視認しやすくしました。これにより、試合中のボールの動きが分かりやすくなり、観客にとって見やすいデザインとなったのです。
近年のサッカーボールは、パネルの形状や数が変化し、より滑らかな球形になるように設計されています。例えば、FIFAワールドカップの公式球には、六角形や五角形以外のパネル形状が採用されることもあります。しかし、基本的な原理として、五角形と六角形の組み合わせによる安定した球形の実現は変わりません。
まとめ
サッカーボールに五角形が使われているのは、六角形だけでは球形を作れないためであり、五角形を加えることで曲面が生まれるからです。また、このデザインはボールの安定性や耐久性を向上させ、視認性を高める役割も果たしてきました。最新のボールでは異なるデザインも登場していますが、五角形が持つ重要な役割は今でも変わらないのです。